イノリ

 

「私は、終わりたくない。怖いの。
ウィズは怖くないの?」

 

勝利条件『プレイ数が無限にある時、ゲームに勝利する』

好きなもの:友人と過ごす時間

嫌いなもの:お別れ

目的:神を超えて、ループする世界を創る

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イノリは駆け出しの若い学者である。

正直なところ、イノリには学者として特筆すべき才能は無かった。

同年代の2人の天才、ウィズとコスモは代々学者といういわゆる名門の生まれであり、事実として学会において数多くの実績を残していた。

対して、イノリの生まれはいたって平凡だ。

両親は田舎で靴屋を営んでいる。

自身も学者コミュニティに属してはいるものの、まだ実績と呼べるような大きな成果はなく、夢見がちな理想論者というのが外野から見たイノリへの客観的な評価だ。

しかし、彼女にはひとつだけ人として特別な才能があった。

人を好きになる才能。

人は往々にして、自分を好いてくれる人間が好きだ。

その法則は宇宙が異なっていても変わることは無いだろう。

故に、イノリの才能はそのまま人に好かれる才能といえる。

"Universe End"

宇宙の終焉が示されたひとつの論文。

淡々とした、事実としての終わりが提示されたことで、多くの人々は希望を失っていた。

しかし、全ての希望を飲み込むような絶望を前にしても、イノリは未来を諦め無かった。

否、諦めることができなかった。

なぜなら、この宇宙には大切な人がたくさんいるから。

たとえ夢見がちな理想論だとしても、イノリの言葉には熱があった。

その熱は絶望の闇の中に確かに灯をともし、やがてその灯火の元に仲間達が集う。

アイ、バース、シュタイン……

本来交わるとこの無かった才能がひとつに紡がれ、新しい希望が生まれた。

イノリの持ち得たたったひとつの才能が、理想を現実に変える鍵となったのだ。